ドラフトキングが教えてくれた、報われない努力とそれでも見続ける力
1. 会社もまた“ドラフト会議”のような場所だ
ドラフト会議が行われたことがきっかけで『ドラフトキング』を思い出した。
ドラマもあったはずと思い、まとめて見るたときに、ふと思った。
野球の世界と会社の人事って、実はよく似ている。
誰がどのポジションに行くかは、実力よりも「上の判断」や「その場の空気」で決まることがある。
努力しても評価されない選手がいるように、
会社でも、誠実に働く人ほど埋もれていく。
「結果を出したのに報われない」
「誰を見て評価しているのかわからない」
そんな理不尽さの中で、それでも仕事を続けている人は多いはずだ。
2. 「見る力」を持つ人だけが本当の意味で人を育てられる
作中のスカウト・郷原は、数字や噂ではなく、“目で見て感じる力”で選手を見極める。
派手さはないが、誠実に、長く現場に足を運び、言葉ではなく姿で選手を信じる。
この「見る力」は、組織の中でも同じだ。
評価シートや上司のコメントよりも、
「この人がどんな環境なら輝くか」を考えられる人こそ、真のマネージャーだと思う。
でも実際の会社では、そういう人ほど“地味”だとか“煙たい”と見なされる。
だから郷原のような存在に、自分を重ねてしまう。
3. 報われない努力にどう向き合うか
ドラフトの世界では、
才能があってもタイミングを逃せば消えていく。
一方で、評価される選手には“運”という名の風が吹く。
これはどの会社でも同じだ。
人事異動も昇格も、努力より“運”で決まることがある。
けれど――
だからこそ、「運に左右されても、自分の信念を見失わないこと」が、
長い人生で見たときの本当の勝ち方なのかもしれない。
4. スカウトの仕事=見続けること
郷原は、選手が挫折しても、
「もう一度見てやる」「まだ終わっていない」と言って現場に戻る。
これは、腐った組織の中でも部下を見続けようとした自分と重なる。
報われないとわかっていても、
誰かを信じて見守ること自体に意味がある。
結果よりも、“見続ける姿勢”が人の価値をつくる。
それを思い出させてくれるドラマ(漫画)だった。
5. 絶望の中でも、もう一度“見る側”に立つ
左遷のような異動や、報われない評価を受けたあと、
人は一度、自分の価値を見失う。
でも、「見る側」としての自分を取り戻すことで、
また少しずつ前を向ける気がする。
今の自分にできるのは、
派手な改革でも、完璧な上司でもなく、
“誰かを信じて見続ける人間”でいること。
それが、組織の中で静かに生き残るための一つの答えだ。
まとめ
『ドラフトキング』は、努力・才能・運命の交錯を描く作品だけど、
その本質は“誠実に人を見ることの尊さ”にあると思う。
この漫画に救われた人は、
きっと「正直に生きることが報われにくい現実」を知っている人だ。
でもそれでも、見続ける人は、いつか誰かに見られる側になる。
そんな希望を、この作品から受け取った。

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